盟友、Holmes金谷さんのさんからお誘いいただきまして、艦これSSを寄稿しました。
明日9/28に札幌はJRタワープラニスホールにて行われる艦これオンリーイベント
「艦これtheフェスタ2」において「アイリ@ドット絵工房」さんより頒布される
オフセ本「戦闘詳報一四〇九二八」に『艦これ戦記if とある司令部のものがたり』
と言うタイトルで収録されています。頒布価格は赤字上等のワンコイン500円だそうです。
当日会場に行かれる方、今後のイベントで「アイリ@ドット絵工房」さんを見かけられた
方はお手にとってどんな出来映えかご覧いただきたく。よろしくお願いいたします。
以下、収録されたお話の導入的なお話と、本編の最初の部分です。以前書いたキス島撤退作戦話の
前段となる、あの司令部の黎明期のお話です。よければごらんくださいまし。
書いてる最中にHDDがすっ飛んでものすごく嫌な汗をかきました(苦笑)
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「とある司令部のものがたり ~遠征艦隊がゆく~」
「おーい、周囲に異常はないかー?」
遠征艦隊の先頭を行く軽巡洋艦天龍が僚艦に声をかける。
「右前方、異常なしです」
「左前方も異常なしっ」
「右後方、異常ないわ」
「左後方、異常ないよ」
「……後方異常なし」
天龍の声に補給艦の周囲を取り巻くように陣取る駆逐艦達が返事を返す。
順に五月雨、涼風、叢雲、曙、霰。
先日まで水雷戦隊を組んで鎮守府近海や南西諸島海域の掃討に当たっていた
仲間達が水雷戦隊ごと遠征艦隊に鞍替えし、こうして護衛任務に就いているのだ。
とは言えこの海域は彼女たちが制圧し制海権を握った場所なので、遠征任務で
輸送の護衛と言っても実はあまりやることがない。
不意に敵の潜水艦や水雷戦隊が出てこないとも限らないのでこうした護衛は
必須だが、敵が現れないことが多く、結果天龍達は暇をもてあますことが多かった。
「……暇だな」
天龍が呟く。
「そうですね」
苦笑交じりに五月雨が返す。そんなやりとりがお決まりとなっていた。
「そういや、オレが来る前の司令部ってどんな感じだったんだ?
五月雨は最古参だから知ってるだろう?」
「そうですね。司令が赴任する少し前から着任して準備をしてました」
ふと思いついたように天龍が五月雨に声をかけた。
「そうなのか。司令の着任……か」
「はい。優しく抱き止めてもらいました」
思い出すように五月雨が言う。ちょっとうれしそうだ。
「なに!? それってどういうことだ」
「そいつぁ初耳だねえ」
「せ、説明なさい」
「どうせあのクソ提督に騙されてるだけよ」
「……」
五月雨のちょっとした言葉に静かだった艦隊が色めき立つ。
「さて、説明してもらおうか」
「え、えーと……」
遠征艦隊はどうやら今日もつつがなく任務に勤しんでいるらしい。
つづく。
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以下本編の冒頭部分
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『艦これ戦記if とある司令部のものがたり』
一.「司令、着任ス」
とある鎮守府のとある司令部。その建屋の木の階段を一人の少女が駆け下りていた。
白いセーラー服に身を包んだ青く長い髪の少女だ。
彼女は脇目も振らず建屋の入口を目指していた。
まだうら若く幼さも感じさせる横顔は、だがとても真剣で、でもなんとなくうれしそうな
気配を漂わせていた。
建屋の入口にたどり着いた少女は駆けてきた勢いのまま扉を開けようとドアノブに手を
伸ばした。
同じ建屋の入口に一人の男が立っていた。
海軍二種軍装に身を固めたその男は襟章から海軍大佐のようだった。
男は背筋を伸ばし帽子のつばを直すと、建屋のドアノブに手を伸ばした。
ガチャリという音とともにドアノブが回る。
男が扉を開くと不意に中から黒い塊が飛び出してきた。
「わ、わわわわわわわわわわわ」
男は手に持った鞄を地面に落とすと両手を広げその青黒い塊を身体ごと受け止めた。
どうやらバランスを崩して一緒に転がるという醜態を晒さずにすんだようだ。
男は軽く息を吐くと自分の胸元に飛び込んできた青い塊を見やった。
白いセーラー服、青く長い髪の少女だった。
つづく。
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ここまで。
なお本作は「戦闘詳報一四〇九二八」頒布後、期間をおいてから「さくらがおか」と
pixivで公開予定です。
それではよろしくお願い致します。
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